副業を解禁する企業が増えています。
しかし、未だに副業を禁止している企業が多いことが実態です。なぜ、副業を禁止している企業が多いのでしょうか。
今回は、企業が副業を禁止する理由や法的問題点をまとめましたので、最後までご覧ください。
副業に関する法律
結論からお話しすると、副業(・兼業)を禁止する法律はありません。
ただし、以前も政府は副業や兼業を積極的に推進はしておらず、モデル就業規則の労働者の遵守事項に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という内容を記載していました。
これは、終身雇用という日本的雇用形態の考え方が関係しています。
しかし終身雇用が実質的に崩壊し、副業禁止を正当化する理由がなくなりました。
政府も日本的雇用を否定しつつ、働き方改革にて副業を奨励しています。
実際に、モデル就業規則の文言も2018年1月に削除、副業・兼業についての規定を新設しました。
(副業・兼業)
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/000496428.pdf
さらに、2020年9月の「副業・副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定に伴い、副業・兼業についての記述を改訂しました。
つまり、法律的には副業をすることは問題ありません。
なぜ副業を禁止するのか
それではなぜ副業を禁止している企業があるのでしょうか。
様々な理由があるかと思いますが、主なものは下記です。
- 長すぎる労働時間による本業への影響
- 労災が起きたときに本業と副業の区別がつけられない
- 情報漏えいのおそれがある
長すぎる労働時間による本業への影響
副業を解禁することで労働時間が長くなり従業員のワーク・ライフ・バランスが崩れる可能性があります。
それにより、睡眠不足や疲労がたまるなど、本業に影響や支障が出る可能性があります。
企業としては、本業をしっかりやってくれることが、副業をする大前提です。
そのため、副業が本業に悪い影響を与えるリスクを避けたいわけです。
労災が起きたときに本業と副業の区別がつけられない
無理をして副業に取り組み、問題が生じているにも関わらず、本業のせいにされてしまう可能性もあります。
もし本業が原因ととらえられた場合は、労災に対する支払(賠償)が発生するなどの可能性もあります。
情報漏えいのおそれがある
社員が本業の内容に近い副業をした場合、企業が保有する顧客情報や企業秘密となっている技術(機密情報)が社外に知られてしまう恐れもあります。
スキルが高い社員であれば、本人のスキルも流出するかもしれません。
情報漏えいやスキルの流出は企業にとって大きな損害を与えます。
務上知り得た機密情報が、従業員の副業を通して競合企業に漏洩してしまう可能性があります。
まとめ
今回は、企業が副業を禁止する理由に関して法律的観点も含め解説しました。
副業を禁止する法律はなく、リスクがあるとは言え今後は徐々に副業を解禁する企業が増加すると考えられます。
「すぐに副業をしたい」という人は、いかに企業が懸念することを回避するかをしっかり伝えることも重要なのではないでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。