文章に変化をつけて、豊かな文章表現にしたいな!
どうしたらいいんだろう?
このようなお悩みはありませんか。
豊かな文章表現にするための技法として、比喩や擬態法などの修辞技法が有効です。
また慣用句を上手に使うのもよいでしょう。
本記事では、文章表現を豊かにするための慣用句について解説します。
是非最後までご覧ください。
慣用句の特徴とは?
慣用句は、2つ以上の語句が結びついて構成されたときに、特別な意味をもつ言葉のことです。
昔から使われる言い回しで、多くの人が使い慣れている表現のこと。
「慣用句」とは意識せず、使っている言葉が多くあるでしょう。
例えば下記をご覧ください。
- あごで使う
- 足を引っ張る
- 揚げ足をとる など
この他にも、日常的に使っている慣用句があるのではないでしょうか。
小説やエッセイなどにも、よく使われています。
慣用句とことわざの違い
慣用句と似ているものとして「ことわざ」があります。
ことわざも、2つ以上の語句が結びついて構成されたときに、特別な意味をもつ言葉のことです。
慣用句とことわざの違いは、教訓が含まれているかいないか。
教訓を含んでいる言葉が「ことわざ」で、含んでいない言葉が「慣用句」です。
慣用句の意味つき一覧
それでは慣用句を意味つきで紹介します。
有名な慣用句
まず、有名な(よく使う)慣用句を紹介します。
後ほど紹介する体、生き物を使った慣用句は省きます。
慣用句 | 意味 |
途方に暮れる | 方法や手段が尽きて、どうしてよいか分からなくなること |
棚に上げる | 知らん顔をして問題にしない、不都合なことには触れずにおくこと |
後の祭り | 時機遅れで、むだなこと、手遅れ |
油を売る | むだ話などをして仕事を怠けること |
立て板に水 | よどみなく、すらすらと話すこと |
気が置けない | 気遣いする必要がない、打ち解けて付き合えること |
途方もない | 1.膨大であること 2.ずば抜けている、現実離れしていること 3.茫然として立ち尽くすこと |
釘を刺す | あらかじめ念を押すこと |
相槌(あいづち)を打つ | 相手の話しに調子を合わせて、受け答えをすること |
息をのむ | 驚く、ハッとすること |
上の空 | 他の事に心が奪われて、そのことに注意が向かないこと、心が浮ついて落ち着かないこと |
固唾を呑む | 緊張している様子 |
兜(かぶと)を脱ぐ | 降参すること、敵への降服、または、相手に対してかなわないと認めること |
気が気でない | 気がかりで落ち着かないこと |
心をくだく | 色々と気を遣う、心配すること |
さじを投げる | 治療法がないとして病人を見放すこと、救済や解決の見込みがないとして、手を引くこと |
しのぎを削る | 激しく争うこと |
図に乗る | いい気になって勢いづく、調子に乗る、つけあがること |
体を使った慣用句
次に体を使った慣用句を紹介します。
【頭】
慣用句 | 意味 |
頭が上がらない | 引け目を感じて対等な関係に立てないこと |
頭が固い | 考え方が柔軟でない、融通がきかないこと |
頭を痛める | ある事を考えて、色々と心配したり悩んだりすること |
頭を冷やす | 興奮した気持ちをおさえる、気持ちを冷静にすること |
頭痛の種 | 心配している、もしくは悩んでいる事柄 |
頭角を現す | 才能や技量などが、周囲の人よりも一段とすぐれること |
頭が切れる | 1.物の考え方が鋭いこと 2.問題をみごとにすばやく解決できること 3.頭の回転が速いこと |
頭に血が上(のぼ)る | 興奮する、カッとなること |
頭を抑える | 他人の発言や行動を押し止めること |
頭を集める | 多人数が寄り合うこと |
【顔】
慣用句 | 意味 |
顔が広い | つきあいの範囲が広い、知り合いが多いこと |
顔から火が出る | 1.恥ずかしさの余り顔を真っ赤にすること 2.あまりに恥ずかしくて顔が熱く感じること |
顔色をうかがう | 相手の気持ち、心情、機嫌を計り知ろうとして表情や顔つきを密かに観察すること |
汗顔の至り | たいへん恥じ入る様子 |
何食わぬ顔 | 自分はあたかも何も知らないように振舞うさま、あるいはその表情 |
顔をつぶす | 1.面目が立たないようにすること 2.世間体や評価を失わせること |
顔に泥を塗る | 面目を失わせる、恥をかかせること |
顔を売る | 世間に広く知られようとすること |
顔向けできない | 自分の失敗などを恥じ、ばつが悪く、あるいは申し訳なく思い、相手の顔をまともに 見ることもできない様子 |
顔に書いてある | 言わなくても、気持ちや考えが表情から読み取れること |
【目】
慣用句 | 意味 |
目に余る | 様子や行いが目立ちすぎて、他人を不快な気持ちにさせること |
長い目で見る | 現状だけで判断を下さず、気長に将来を見守ること |
目が肥える | よいものを見慣れて、よしあしを見分ける力が増すこと |
目を白黒させる | 1.苦しさのあまり目の玉を白目にしたり黒目にしたり、激しくしきりに動かすこと 2.びっくりする、あわてること |
人目につく | 他人から注目されること |
目くじらを立てる | 目をつり上げて怒りながら、人をとがめたり粗探しをしたりすること |
目を光らせる | 不正が行われていないか、または欠陥が生じていないか、といった事柄に注意して見張ること |
目が堅い | 夜が更けても眠りたがらないこと |
目もくれない | 少しの関心も示さない、見向きもしないこと |
目を盗む | 人に見つからないように、こっそりすること |
【耳】
慣用句 | 意味 |
耳が痛い | 他人の言葉が自分の弱点をついていて、聞くのがつらいこと |
耳にたこができる | 同じことをうんざりするほど何度も聞かされて参ること |
耳が早い | 物音や世間のうわさなどを聞きつけるのが早いこと |
耳が汚(けが)れる | 汚らわしいことや不快なことを聞いてしまうこと |
耳に入れる | 1.情報などを知らせること 2.聞いて知る、小耳にはさむこと |
耳に障る | 聞いて不愉快に感じること |
耳に残る | 声や音が忘れられなくなること |
耳をふさぐ | 強いて聞かないようにすること |
耳を疑う | 思いがけないことを聞き、聞き違いかと思う、聞いたことが信じられないこと |
耳を立てる | 聞こうとして注意を集中する、聞き耳を立てること |
【鼻】
慣用句 | 意味 |
鼻にかける | 得意げになっている、自慢げな様子、ドヤる様子 |
鼻をあかす | 人をあっと言わせること |
鼻が高い | 誇らしい気持ちである、得意であること |
鼻が利(き)く | 1.嗅覚が敏感であること 2.敏感で物を見つけ出すことなどに巧みであること |
鼻を鳴らす | 鼻にかかった声を出す、甘えた声を出すこと |
鼻で笑う | 相手を見下してあざけり笑う、鼻先でふんと笑うこと |
鼻につく | うっとうしくて嫌な感じがする、どうも気に入らないこと |
鼻を折る | おごる心をくじく、得意がっている人をへこませて、恥をかかせること |
鼻歌交じり | 鼻歌をうたいながら気軽に事をすること |
鼻息が荒い | 意気込みが激しい、強気で威勢がよいこと |
【口】
慣用句 | 意味 |
口が軽い | おしゃべりで、言ってはいけないことまで言ってしまうこと |
口が酸っぱくなる | 同じ言葉(忠告など)を嫌になるほど繰り返して言うこと |
口車に乗せる | 言葉巧みに人をだますこと |
口火を切る | 物事を他に先がけて行って、きっかけをつくること |
口が上手い | 話し方が巧みである、口先で人をまるめ込んだりするのが上手であること |
口が重い | 口数が少ない、寡黙であること |
口が過ぎる | 言うのを控えるべきことまで言う、言いすぎること |
口を合わせる | 1.しめし合わせて同じことを言う、口裏を合わせること 2.相手に話しの調子を合わせること |
憎まれ口を叩く | 人に憎まれるようなことを言う、憎まれるような態度や話し方で話すこと |
口を濁す | はっきりと言わず、あいまいにする。言葉を濁すこと |
【首】
慣用句 | 意味 |
首を長くする | 期待して待ち焦がれること |
首が回らない | 借金など、支払うべき金が多くてやりくりがつかないこと |
首をひねる | 理解できずに考えこむ。また、疑わしく思ったり不賛成の意を示したりすること |
首を横に振る | 否定すること |
寝首を搔(か)く | 人の油断に乗じて、卑劣なはかりごとで陥れること |
首が飛ぶ | 免職になる、解雇されること |
首を挿(す)げ替(か)える | 重要な役職に就いている人を入れ替えること |
雁首(がんくび)を揃(そろ)える | 人が集まり立ち並ぶ様子 |
首を賭ける | 命がけで物事を行うこと、また職を失う覚悟で事にあたること |
首を突っ込む | 物事に関与、干渉する、深入りすること |
【足】
慣用句 | 意味 |
揚げ足を取る | 人の言いまちがいや言葉じりをとらえて非難したり、からかったりすること |
足が出る | 1.予算または収入よりも出費が多くなる、赤字になること 2.隠しごとが現れる、ぼろがでること |
足を引っ張る | 人の成功や前進のじゃまをする、妨げとなること |
足が棒になる | 長く立ったり歩いたりして疲れ果て、足の筋肉がこわばること |
二の足を踏む | 思い切れずに迷う、ためらう、しりごみすること |
足元にも及ばない | 力の差が大きく隔たっていて、比較の対象にすらならない、まるで及ばない、 とても敵わないこと |
足蹴(あしげ)にする | ぞんざいに扱ったり酷い扱いをすること |
足元を見る | 相手の弱みにつけこむこと |
足が遠のく | 今までよく行っていた所に行かなくなること |
浮足立つ | 1.不安や恐れで落ち着きを失う、逃げ腰になること 2.期待で浮かれた気持ちになり、そわそわすること |
【その他】
慣用句 | 意味 |
舌を巻く | あまりにもすぐれていて、ひどく驚く、感嘆すること |
舌つづみを打つ | うまいものを食べるとき舌を鳴らすこと、またはそのように料理を味わうこと |
手に余る | 物事が自分の能力以上で、その処置ができないこと、手に負えないこと |
肩身がせまい | 世間に対して面目が立たず、ひけめを感じること |
肩の荷がおりる | 責任や負担から解放されて楽になること |
肝をつぶす | たいそう驚くこと |
後ろ髪を引かれる | 心残りだったり未練があったりすること |
手を焼く | うまく処理できなくて困る、てこずる、もて余すこと |
喉から手が出る | 欲しくてたまらないこと |
腹が黒い | 悪事をたくらむ性質であること |
生き物を使った慣用句
次に生き物を使った慣用句を紹介します。
【動物】
慣用句 | 意味 |
いたちごっこ | 互いに同じようなことをいつまでも繰り返すだけで、決着がつかないこと |
馬が合う | 気がよく合う、意気投合すること |
猫の手も借りたい | 非常に忙しく手不足で、どんな手伝いでも欲しいこと |
袋のねずみ | 逃げ出すことのできない状態 |
同じ穴のムジナ | 悪党の同類である、同じように悪党であること |
狐につままれる | 1.狐や狸の類に化かされること 2.事の意外さに呆気に取られること |
牙をむく | 反逆の態度を示すこと、敵意を露骨に示すこと |
犬の遠吠え | 陰口をたたくこと |
脱兎(だっと) | とても素早く俊敏であること |
狐と狸の化かし合い | 悪賢い者どうしが互いにだまし合うこと |
【鳥】
慣用句 | 意味 |
雀の涙 | ごくわずかなもののこと |
烏合(うごう)の衆 | 規律や統制がない集団のこと |
一石二鳥 | 1つの事をして同時に2つの利益、効果をあげること |
閑古鳥が鳴く | 商売がはやっていない、寂れた様子 |
おうむがえし | 1.他人の言ったとおりに言い返すこと 2.相手から詠みかけられた歌の一部だけを変えて、別の趣向で返歌すること 3.酒宴の席で、相手の差す杯を干して、すぐ返杯すること |
烏(からす)の行水 | 入浴時間が短いこと |
くちばしを鳴らす | 1.しゃべりたてること 2.歯ぎしりをして悔しがること |
烏有(うゆう)に帰(き)す | すっかりなくなること |
くちばしを入れる | 自分とは直接関係のないことに横から口出しをすること |
鵜呑(うの)みにする | 物事の意味を十分に理解しないまま、他人の意見などを受け入れること |
【魚】
慣用句 | 意味 |
水魚の交わり | 切り離せない関係のような、非常に親密な交友 |
逃がした魚は大きい | 手に入れそこなったものは、惜しさが加わって、実際より価値が あるように思われること |
腐っても鯛 | すぐれたものは、いたんでもそれなりの値打ちは保っているということ |
海老で鯛を釣る | わずかな元手でがっぽり利益を得ようとすること |
鯖を読む | 適当に数を誤魔化す、自分の都合のよい数を言うこと |
金魚の糞 | 1人の人間にたくさんの人間がついて回っていること |
尾ひれをつける | 事実でない誇張を交えて話す、話に余分なものを付け足すこと |
とどのつまり | 結局のところ、話が最後に行き着くところ |
雑魚(ざこ)の魚交(ととま)じり | 大したことのない人が、優れた人々の中に入り混じっていること |
大魚(たいじょ)を逸(いっ)する | 大きな手柄を立てそこなう、また大きな利益を手にしそこなうこと |
【虫】
慣用句 | 意味 |
泣き面に蜂 | 不運や不幸が重なること |
虫がいい | 自分の都合ばかり考えて他を顧みない、身がってであること |
虫の居所が悪い | 機嫌が悪く、ちょっとしたことも気に障る状態にある、不機嫌であること |
虫唾(むしず)が走る | 胸がむかむかするほど不快であること |
蚊(か)の鳴くような声 | かすかで弱々しい声 |
虫の息 | 弱り果てて、今にも絶えそうな呼吸。またその状態 |
虫が好かない | なんとなく気にくわないこと |
虫も殺さない | 虫さえも殺せないほどおとなしそうであること |
蚤の夫婦 | 小柄な夫と、大柄な妻の夫婦 |
虫が納まる | 腹立ちが直る、平静な気分にもどること |
英語の慣用句
最後に英語の慣用句を紹介します。
慣用句 | 意味 |
A blessing in disguise | 最初は悪いことのように思えるよいこと |
Better late than never | 来ないよりは、遅れて来る方がよい |
Cutting corners | 時間やお金を節約するために、手を抜いた仕事をすること |
Get your act together | しっかりしなさい |
Miss the boat | 手遅れ |
まとめ
本記事では、文章表現を豊かにするための慣用句について解説しました。
慣用句は、2つ以上の語句が結びついて構成されたときに、特別な意味をもつ言葉のこと。
昔から使われる言い回しで、多くの人が使い慣れている表現です。
ことわざとの違いは、教訓が含まれているか、いないかでことわざか慣用句か異なります。
今回ご紹介した慣用句は、ほんの一部なので、色々調べながら是非上手に使いこなしてください。
その他にも文章を豊かにする技法を知りたい人は「修辞技法(レトリック)の種類を一覧で解説!豊かな文章を書こう!【例文あり】」をご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。