国税庁が『所得税基本通達の制定について』の改正案にて「300万円以下の副業は雑所得」を盛り込み、パブリックコメントの募集をしております。
これはどのようなことなのでしょうか。
今回は、300万円以下の副業は雑所得とはどのようなことでそのデメリットは何かまとめましたので、是非ご覧ください。
(アイキャッチ画像出典元:https://news.yahoo.co.jp/articles/eaddd10d24de829b5ae3221678db72a564b6e1cb)
『所得税基本通達の制定について』の改正案
まずこの改正案にどのようなものが盛り込まれているのでしょうか。内容は下記となっております。
1.その他雑所得の範囲の明確化
その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいいます。)の範囲に、譲渡所得の基因とならない資産の譲渡から生ずる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生ずる所得及び山林の譲渡による所得を除きます。)が含まれることを明確化します。
2.業務に係る雑所得の範囲の明確化
業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。
また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。
引用元:https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239211
副業をする人にとっては、2番目の「収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱う」という部分がポイントだよ
全然意味が分からないよ
そもそも雑所得って何?
こうなると困ることあるの?
「300万円以下の副業は雑所得」案のデメリットとは
この案が実現した場合、副業で300万円以上を稼がなければ事業所得ではなく雑所得として取り扱われます。
つまり青色申告ができず白色申告となるということです。
青色申告ができなかった場合税制上の優遇を受けることができず、結果支払う税金が増える(手元に残るお金が減る)というデメリットがあります。
青色申告(事業所得)と白色申告(雑所得)の違い
青色申告と白色申告には様々な違いがありますが、大きくは下記2点になります。
- 手続等の煩雑さ
- 税制上の優遇
手続等の煩雑さ
青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」を所管の税務署に提出する必要があります。
白色申告の場合は必要ありません。
また提出書類・保存帳簿・記帳方法にもにも下記の様に違いがあり、
項目 | (65万円控除) | 青色申告(10万円控除) | 青色申告白色申告 |
提出書類 | ・確定申告書B ・青色申告決算書 ・貸借対照表と損益計算書 ・第三表 (分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合) ・第四表 (損失申告用、赤字で青色申告する場合) | ・確定申告書B ・青色申告決算書 (損益計算書) ・第三表 (分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合) ・第四表 (損失申告用、赤字で青色申告する場合) | ・確定申告書B ・収支内訳書 |
保存帳簿 | ・総勘定帳 ・仕訳帳 ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・固定資産台帳 | ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・固定資産台帳 ・経費帳 | ・法定帳簿 ・任意帳簿 |
記帳方法 | 複式簿記 | 簡易(単式)簿記 | 簡易(単式)簿記 |
税制上の優遇
白色申告にない青色申告の税制上のメリットの例としては下記です。
1.青色申告特別控除(65万円の特別控除、青色10万円控除)
65万円の特別控除が受けられます。特別控除とは、65万円を収入から引くことができるというものです。
※取引の記録を簡易簿記で行う場合は、10万円の特別控除になります。
2.赤字の場合、3年間繰り越すことが可能
赤字を3年間繰り越すことが可能です。
1年ごとに税金を計算すると、多額の利益が出た年と赤字の年が交互であった場合、利益の出た年に多くの税金を支払うことになります。
3.損益通算が可能
本業と含めての黒字と赤字を相殺できます。
つまり副業が赤字になった場合に、本業の給与と損益を通算して税負担を軽減することが可能です。
4.自宅をオフィスにすると家賃や光熱費の一部を経費にすることが可能
プライベートと事業で共用しているものの費用を「家事按分」制度を利用し、白色申告と比較して容易に経費として計上することができます。
つまり、手続きなどは大変だけど青色申告にした方が色々な優遇を受けられるんだね!
その通りです
「300万円以下の副業は雑所得」案が実現した場合、この優遇を受けられなくなります
そうなんだ、それは嫌だね、、、
副業で300万円以上稼ぐのはなかなか難しいし
まとめ
今回は、300万円以下の副業は雑所得とはどのようなことでそのデメリットは何かまとめました。
この案が実現した場合、青色申告ができなくなるため雑所得になることで、これまでの様な税制上の優遇措置を受けることができなくなります。
まだこの案は確定ではないので、今後も追っていきたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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