あなたは、自分の意見を書くときに、どのように文章を構成していますか。
自分の考えを読者に伝えるためには、論理的な文章が必要ですが、論理的な文章を書くのは簡単ではありません。
この記事では、三段論法の使い方や注意点について具体的な例を交えて解説します。
三段論法を活用し読者を納得させる文章を書きましょう。
三段論法の定義とメリット
三段論法とは、論理的な文章を書くための基本原則の一つで、文章は前提・主張・根拠の3つで構成されます。
前提とは、読者と共有できる事実や常識。
主張とは、前提に基づいて自分が言いたいことを表し、根拠とは主張を支える証拠や理由で、前提から主張へ、主張から根拠へと、順序立てて論理を展開します。
三段論法には、以下のようなメリットがあります。
- 読者に対して自分の考えを明確に伝えることができる
前提・主張・根拠の3つの部分が明確になっていれば、読者は何を言いたいのか、どういう根拠があるのかを理解しやすくなります。 - 読者に対して自分の考えに納得してもらえる
前提・主張・根拠の3つの部分が論理的につながっていれば、読者は考えに説得力があると感じやすくなります。 - 自分自身の考えを整理できる
前提・主張・根拠の3つの部分を明確にすれば、何を言いたいのか、どういう根拠があるのかを確認できます。
三段論法の構成要素:前提・主張・根拠
前述の通り、三段論法の文章は前提・主張・根拠の3つの部分から構成されます。
前提とは、読者と共有できる事実や常識で、自分の主張に対する背景や前提条件のこと。
前提が読者にとって不明瞭だったり疑わしいものだったりすると、主張に対する信頼性が低下するため、読者が納得できるものである必要があり、一般的な知識やデータなどを用いて表現します。
主張とは、前提に基づいて自分が言いたいことで、自分の考えや意見を明確に示すパートです。
前提と主張が食い違っていたり関係がなかったりすると、論理が崩れるため前提と一致するものである必要があります。
根拠とは、主張を支える証拠や理由で、自分の主張に対する説得力を高めます。
主張と根拠が無関係だったり矛盾していたりすると、論理が崩れるため、根拠は主張と関連するものである必要があり、具体的な事例や引用などを用いると効果的です。
三段論法の具体例と注意点
三段論法はさまざまなジャンルやシーンで活用できます。
ここからは、三段論法の具体例と注意点について紹介します。
例1:商品レビュー
まず、商品レビューに三段論法を活用するケースの例文です。
私は、このヘッドホンを購入してから、毎日音楽を聴くのが楽しみになりました。このヘッドホンは、高品質な音質と快適な装着感を兼ね備えています。
上記の文章を、三段論法を使って書いてみましょう。
- 前提
このヘッドホンは、高性能なドライバーとノイズキャンセリング機能を搭載しています。 - 主張
このヘッドホンは、クリアで迫力のある音質を提供します。 - 根拠
このヘッドホンは、私が聴いたどんなジャンルの音楽も、細部まで再現してくれました。
また、周囲の雑音を遮断してくれるので、集中して音楽に没入できました。
- 前提
このヘッドホンは、柔らかいイヤーパッドと調節可能なヘッドバンドを備えています。 - 主張
このヘッドホンは、長時間でも疲れにくい装着感を実現します。 - 根拠
このヘッドホンは、私が何時間使っても、耳や頭に圧迫感・痛みを感じませんでした。
また、自分の頭のサイズに合わせて調整できるので、ぴったりとフィットします。
上記が三段論法を使った商品レビューを作成した場合の例で、前提・主張・根拠の3つの部分が明確になっているのがわかるのではないでしょうか。
前提は商品の性能や機能に関する事実を示し、主張は商品の音質や装着感に関する評価を示しています。
また、根拠は商品の使用体験に関する事例を示し、読者に商品の魅力が伝わる文章になっています。
例2:意見文
続いて、意見文に三段論法を活用した場合の例文です。
私は、動物園は動物の権利を侵害していると考えています。動物園は、動物を自然から引き離して、狭い檻の中に閉じ込めています。
上記文章に、三段論法を使い作成した意見文が以下です。
- 前提
動物園は、動物を観察や教育のために展示しています。 - 主張
動物園は、動物の自由や幸福を奪っています。 - 根拠
動物園は、動物を本来の生活環境とは異なる場所に住まわせています。
そのため、動物はストレスや不安を感じたり、行動障害や健康問題を起こしたりします。
- 前提
動物園は、動物の保護や繁殖のために活動しています。 - 主張
動物園は、動物の保護や繁殖に効果がないどころか、逆効果です。 - 根拠
動物園は、動物の遺伝的多様性や適応能力を低下させています。
そのため、動物は自然界に戻れなくなったり、絶滅の危機にさらされたりします。
以上が三段論法を使った意見文の例です。
前提は動物園の目的や役割に関する事実、主張は動物園の問題点や反対理由を示しています。
根拠には、動物園の影響や結果に関する問題点を示しています。
注意点1:前提と主張の一致性
三段論法を使うときには、前提と主張が必ず一致するものである必要があり、前提が主張を支持するものでなければなりません。
つまり、前提が主張に関係があるものや、前提が主張を導けるものということです。
前提と主張が一致しなければ論理が崩れてしまいます。
例えば、「この本は面白い」という主張に対して、「この本は赤い」という前提は、面白さと色は関係がないため一致しません。
例えば「この本は面白い」という主張に対して、「この本はベストセラーになった」という前提であれば、面白さの証拠になるため一致します。
また、「このレストランはおいしい」という主張に対して、「このレストランは安い」という前提も、おいしさと値段は必ずしも関係がないため一致しません。
「このレストランはおいしい」という主張に対して、「このレストランはシェフが有名な人だ」という前提ならば、シェフの有名さがおいしさの保証になるため一致します。
三段論法を使う際には、前提と主張の一致性にご注意ください。
注意点2:根拠の信頼性
三段論法を使うときには、根拠の信頼性も重要です。
根拠の信頼性というのは、根拠が正しいことや確かなことが該当し、根拠が事実に基づいている・根拠が権威あることです。
根拠の信頼性が低いと、主張の説得力が弱くなります。
具体的には「この映画は面白い」という主張に対して「私はこの映画が好きだ」という根拠は信頼性が低いでしょう。
好き嫌いは個人的な感想であり、事実ではないからです。
「この映画は面白い」という主張に対して、「この映画はアカデミー賞を受賞した」という根拠であれば、アカデミー賞は映画界の権威ある賞であるため信頼性が高くなります。
また「この商品は効果的だ」という主張に対して「私はこの商品を使って痩せた」という根拠も信頼性が低いでしょう。
個人的な体験談は証明力が弱く、他の要因の影響も考えられます。
「この商品は効果的だ」という主張に対して、「この商品は医学雑誌に掲載された研究で効果が証明された」という根拠であれば、医学雑誌は科学的な方法で研究を行っているため、信頼性が高くなります。
まとめ:三段論法で読者を納得させる
三段論法とは、前提・主張・根拠の3つの部分からなる論理的な文章の書き方です。
三段論法を使えば、自分の考えを読者に明確に伝えられます。
しかし、三段論法を使うときには、前提と主張の一致性と根拠の信頼性に気をつける必要があります。
前提と主張の一致性と根拠の信頼性に気をつけ、自分の考えを読者に伝えましょう。